フラットインタビュー vo.7 LIC訪問看護リハビリステーション 黒沢さん(前編)

VOICE

FLAT STAND管理人の和田(ここでは、しげおと呼ばれている)が『たまれ』に出入りするメンバーに話を聞いてまわるシリーズとしては第3弾!!   今回はFLAT STANDを運営する株式会社シンクハピネスの医療事業部の部長の登場!
「LIC訪問看護リハビリステーション」の所長でもある看護師の黒沢勝彦さんのインタビューをお届けします!相変わらずゆるーいトーンではじめつつ、ポイントポイントで普段はあまり聞けない(むしろあまり言えない情報もあるやも)ことなんかも深ぼって聞けたらなぁーと思ってます!

※黒沢さん → 黒、F LAT STAND 管理人 和田 → W

黒さんが看護師を目指すまで…

はい!雑に振りますが、自己紹介お願いします。

黒:株式会社シンクハピネスの医療事業の部長で、LIC訪問看護リハビリステーションの所長をしてます。パーソナル的には、もともと音楽をずっとやってて、音楽に関わる仕事をしたいなと思いつつも、結果としては現在看護師をやってます!

すごく看護師になりたいとかってではなくてってことですか?すごく漠然とした感じで看護師になったって感じですか??

:そうすね。医療関係って漠然と興味はあったんですけど、そんときから「人と関わったほうが自分が活きるんじゃなかいか」とは思っていて、検査室とかではなくて、目の前の人に対してなにか自分の手で直接触れたり、施術じゃないけどっていうのはなんか漠然とあったんすよねー。
コミュニケーションっていうのは1つキーワードとして。人と関わることで自分自身もなにか得るものものがあったり、なんか向いてるんじゃないかなって。

それって大学に入るときとか学科を選ぶときにそう思っていた感じすか??

:高校んときすね!看護師になるかは後から付いてきた、っていうか結果そうなった、みたいな。「医療」「人と関わる」ってとこで、医者には興味がなかった、なんていうか、学力も足りてなかったし、そもそもイメージが良くなかった。偉そうなのは性に合わない気がしてたのかもしれないなって。

↑の写真はFLAT STANDで開催した会社のイベントの際にDJをしている黒さん

順調だった?

:ううん(首振りながら)

 – めっちゃ首振ってるww

:そもそも学校入ってからは周りはほとんど女性だったし、先生も女性だし。
話し飛ぶけどブラスバンドやっていて、高校んとき部長もやってたんすよね。でも、コンプレックスがあった。すごい挫折したんすよね。自分のやってる楽器のことができないのと、相談する人は全員女性で…。性差じゃないけど、やっぱり男性のほうが相談しやすかったりってするし。女性が何考えてるかわかんない的な…。

 – 思春期だしね。

:なにかを決めたり議論するにしても、間をとろうとしちゃって厳しく言えなかったりもしたし、部長としての役割も果たせなかった。そんときはホントにだれもフォローしてくれる人がいなかったし。そういうエピソードが心に残りやすくて。で、看護師の学校も実際グループワークも女性ばっかだし。「うまくやっていけるかね?」って思ったし、特殊にみられちゃうんですよね男性ってだけで、完全にマイノリティではあったすからねー。明らかに「女性が看護師」っていう社会的なイメージもあったと思うし。

「看護学校〜看護師としての就職」 時代 

:あんま覚えてないすけど、先生には自分の本当に思っていることはうちあけられなかった。「こうなりたいんです」というのもだれに相談していいかわからなかったなぁと。

 – それって黒さんが思っていることって、先生がやってきたことを否定することになったりする??

:今気づいたんすけど、話したらそうじゃないって言われてレールにのせられるんじゃないかって不安があったんじゃないかな、と。「献身的であったほうがいい的な空気」とか「看護とはこういうものだ」みたいなものが、違和感ではないけど、そうじゃないといけないっていうのもなんかなーって思いつつ、こういう悩みをだれに話せばいいんだ??的な。
実際自分も好き勝手やってたんすよね。学生のときは髪型をアフロや金髪にしてみたり…。看護っていう体制に抗っていただけではないんだけど、企業に就職してもそうだったとは思うけど、看護とかは特に伝統的なことがすごく残っているように感じていた。

 – でも、病院で看護師としての道を選んだんすよね??

黒:そうすね。そんとき交際していた女性にまだ、遊んでんの?的なギクシャク感もあってひとまず就職しようかな、と。で、「土日休みがいいし」ってことでオペ室希望をだして就職したんですけど、入社当日に新卒はオペ室には入れないと聞かされて、一番忙しい外科病棟に配属されるっていう…
で、最初は業務を覚えることでいっぱいいっぱいになると思っていたんですけど、そもそも「おもしろい」と思うことには入り込める性格なので、そこで3年くらいやっていくなかで看護に傾倒していった感じで。
はじめに思っていた『コミュニケーション』っていう部分に触れたりしていくうちにやんわりと「大事な仕事なんだ」と思いはじめた感じすかね。

 – なるほど。それで黒さんの今のベースの部分につながってくるんすね。

黒:そうすね。
「亡くなる人」「生きることが難しい人」「手術や大きな治療を選択しないといけない人」たちと向き合う病棟でだったんですけど、例えば「手術をする /しない」みたいなことって、その人にとってみれば、すごく「話すこと」が大事なんだなって。孤独じゃない方がいいかな….って考えるようになっていた。
病棟の業務が終わって着替えてきても、病棟の患者さんのところにいって話をしていたりしたんすよね。周りからみると「何やってんの?」だと思うんですけど看護師長さんたちは受け入れてくれていたんだなぁと。

– そもそもNOだとしたらいくらでも言えるし、ほっておいてくれたんすねー。

黒:そうですね。
就職しても髪型だったり、ヒゲだったり…ファールをどこまでいったらがファールになるか…みたいな感じではあったんですど、さすがにパーマあてたときに病棟の看護師長さんじゃなく、病院の看護部長さんからの指摘が入ったみたいで、ある日廊下に呼び出されて、「部長から言われてるからもうなんとかして」って言われるっていう。で、その光景をたまたま出くわした患者さん3人くらいがいて、「この子はいつもいろいろ話聞いてくれてるし、よくやってくれるのよ!ヒゲや髪型くらいいいじゃないー、今の若者は普通よ!!」って言ってくれる的なエピソードがあって(笑)。今もベースにそういう感覚はあって…

ちなみにその日は戻したんすか??

:モヒカンとヒゲのときは戻さなくて、「パーマかけたときは部長に直接いわれて翌日に戻した」っていう…
部長さんに言われたときはすごい嫌だったけど結果的には体制に屈したすね。でもあと別の視点もあって、その頃、自分の所属が「外来」にも拡がっていたので外から見られることも意識していたから「よくないかも」っても思っていたんだとは思いますね。

記憶に残る2つのエピソード

:看護師として6年目の頃のエピソードがあって。
1つは、その頃それなりに自分で仕事ができると思っていたんですよね。でもできなかったって経験で…
オペ後の患者さんの心臓に何が異常が起きていることに誰も気がつけなかった。外科で自分はお腹のことばっかしか知らないんだなって。こういうことが起きて対処もできなかったし、医者に対して助言もできなかった。
この経験が自分の中ではすごくショックなエピソードなんですよね。

:もう1つはがん患者さんとの話なんすけど…
その人は、治療はやらなきゃいけない。抗がん剤も必要。で、髪も抜けることは理解している。それでウィッグも準備している状況で。ご家族同士もすごくいい関係性でいたし、説明されたことを納得して理解をしている。でも、用意しているウィッグはつけていなくて。で、ある日、残業してたら、娘さんと本人でステーションに顔をかくしながらキャッキャッしながらきたんすよね。で、はじめてウィッグをつけて、それを見せに来てくれたんですよねー
このエピソードが何だったかは未だにわからないんすけど、その行為自体がすごく豊かなことっていう風に思ったんですよね。この人にとって「看護師」っていう存在自体がすごく影響を与えているんだな、って。

– めっちゃ素敵な話っすね

黒:そうなんすよね。
で、オペして、1年で再発して、化学療法もきかなくて肺に転移して…病状の理解もしっかりしていて、今後のことも家族の中で話をして延命的な治療は望まないって決めていたんですよ。で、退院をされて… 
で、あるときその人が別の病棟に入院しているって話を耳にして、見にいったら挿管(人工呼吸器を取付)していた。ご自宅に帰って、状態が悪くなった結果としては救急搬送されて…、事前に気管切開もしない、挿管しないって家族とも話をしていて決めていた人が、どうしてって悔しくて悲しい気持ちになったんですよね。そのときはなんでそうしたとかわからなかったんですよね。
なんであの人はそういう決断をしたのか、ご家族もそういう決断をしたのかって。
亡くなるのはわかっているのに、なんであんなに話していたのに挿管したんだろう、なんで呼吸器つけたんだろうって。
そのときには本当にわからなかったんすよね。
目の前のその状況を見た時に、本人も苦しい状況を選んでしまっていないか、家族も苦しい状況を選んでしまっているんじゃないか..ってすごく感じたのを覚えているんですよね。

 – なんか軽く聞いたことはあったすけど、ガッツリ聞くのははじめてですね、この話。この経験って今の訪問看護での仕事というか、スタンスにも影響してますよね。

黒:そうすね。
この2つのエピソードっていうのがすごく自分の中では残っていて、その後の進路や転職にも大きく影響してますね。

 

前編の今回は黒沢さんの人として、看護師としてのバックグラウンドが見える話やエピドードを伺いました。中編では、その後の進路や活動とそのときの想いを話してもらいながら、訪問看護に興味を持ち、実際に訪問看護師になるまでのところまでいけたらなーと思ってます。

 

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『the town stand FLAT (FLAT STAND)』
2016.6月にOPENしたコーヒースタンドとコミュニティスペース機能をMIXした「まちのセカンドリビング」を目指したコミュニティカフェ。まちに暮らす人が1杯のコーヒーやワークショップなどのイベントを通じて、人やコトに出会い、関係性をつくり育んでいくための出入り口の役割を担うべく、さまざまなな活動を展開中。
運営は、訪問看護ステーション/居宅介護支援事業所を運営する株式会社シンクハピネス


フラットインタビュー vol.7 LIC訪問看護リハビリステーション 黒沢さん(前編)
フラットインタビュー vol.7 LIC訪問看護リハビリステーション 黒沢さん(中編)
フラットインタビュー vol.7 LIC訪問看護リハビリステーション 黒沢さん(後編)
フラットインタビュー vol.7 LIC訪問看護リハビリステーション 黒沢さん(おかわり編)