フラットインタビュー vo.5 Hi PRESS 平田有輝恵 (前編)

VOICE

FLAT STAND管理人の和田(ここでは、しげおと呼ばれている)が『たまれ』に出入りするメンバーに話を聞いてまわるシリーズとしては第1弾。まずは、裏のアパートに飛び込んできた銅版画のアトリエ「Hi PRESS」を運営する平田有輝恵さん。なぜ、ここでやりはじめたのか…そのルーツをじっくり聞いてきましたよー

「タイミング」と「直感」を信じて….

-もともと、ここにアトリエを持とうと思ったのはいつ頃だったっけ?

平田:2018年の5月かなー。

-けっこう前だよね??でもめっちゃ覚えているよ。急に!だったもんねー

平田:そう、タイミング!!
版画工房で作品つくってたら、版画仲間が「銅版画のプレス機がこの値段で!?」ってプレス機がオークションに出てることを教えてくれたんだよね。んで、それみて「欲しい!」ってなったんだよねー
そのとき、勤めていたのがLIC訪問看護リハビリステーション(※)で、このアパートにもと居宅支援事業所はあって、その頃は訪問介護事業所があったくらいで。101自体はまだ何も手を入れていなかった頃なんだけど、「こんな感じにしていきたいんだよねー」って話は聞いてて、そこでFLAT STANDにいたしげおさん(FLAT STAND管理人)に話にいったんだよね。

-そっか、その頃ってデザイナーの佐久間さんにすごーく大きいアウトラインのイメージだけ描いてもらっていたけどスピード感はでてなくて全然実働はできてなかったんだよね。だからこのプレス機がホントに1発目だったんだよねー。で、ガツンって感じで放り込んできたよね、で、結局オレものっかっちゃったんだけどねー

平田:絶対のっかってくれると思ってたんだよねー、好きだろうからこういうレトロで無骨な感じのやつ。だって「プレス機よくない?」って「ここにあったらめっちゃ楽しくなる」って思ったんだよ。あのときは「タイミング」と「直感」しかなかった。
そのときってあんまり、自分でアトリエ持つとか考えてなかったから。

-あ、そうなんだ?

平田:自分のものにしたいっていうより、「プレス機があったほうが私も周りも面白いやろ」」ってことだったんだよねー

『医療×美術』をかけ合せることで生まれる可能性

-その頃勤めていた会社がLIC訪問看護ステーション(※1)だったじゃん?
いつから「医療」×「美術」ってことでなんかやりたいって思ってたの?

平田:今は「看護師」「アトリエ運営」「大学生」の3本軸でやってるんだけど…
看護師は看護の高専(15-20歳)に入ったことがきっかけ。で、もともと絵を描くことが好きだったんよ。イラストレーター的な活動もしていて。
それで、高専にいた18歳のとき、「デザイナーになる」ってやめることを先生に言ったら、
「もったいないやん。看護師で稼いで自分のお金でデザインの学校いったらええやん」って言葉で、「そっか」ってなんか受け取ることができたんだよね。合理的で誰にも迷惑掛けない方法に納得したというか。

-それって同じ言葉を違う人から受けたらまた違う受け取り方にもなりそうだけど、先生との信頼関係見があったのかな。

平田:それはすごくあるかも。それで結局は看護師免許とって、それから「手術室」→「外科」で3年くらい看護師として働いている中で、感じたことが私にしかできないことをやりたい、それなら医療(看護)と美術(ものづくり)でやれることがあるんやないかなと考えてたの。そこで「臨床美術士(※)」っていうものを知ったのよね。
「アートを通じて、認知症の予防・mental health careってできるんや!」って思って上京して資格とって…

-あ、そのために上京したんだ?それまでは「看護師」と「美術とかアート」は別だったって感じ??

平田:そう、完全に。私の特技やスキルを活かしたいってことではあったけど。

-臨床美術のことを学んでから、看護師として働く中でなんか変わったってことあった??

平田:資格取ってからはまだ「医療」と「美術」を融合できてなくて、しばらく療養病棟で働きながら臨床美術のボランティアをしてたんだよね。資格をとる中で、医師とかデザイナーはいたけど看護師はいなかったんんだよね。だから「コレ、もらった!!臨床美術×看護師って私だけやん!」と思ったよねー

-タイミングね!?

平田:そう。実際に臨床美術で活動している中で高齢者施設でサブスタッフとしてボランテイアをしてたんだけど、メインの人の美術のやり方をみて「看護から見るやり方」って全然違う、「もっとこうしたらいのに…」っていう葛藤がすごくあったんだよね。
だからこそ「まだ新しい、いける!」って思う感覚と「もっとできる!」っていう感覚がめっちゃあったんだよね。

-そもそも看護師として「人に向き合っている」わけだから、臨床美術のワークショップに参加する人がどういう身体のコンディションで、どういう精神的な状況でっていうことを知った上でワークショップに参加する環境を整えたほうが、より楽しめたり、より「その人らしく」とか、より自由な「表現」とか、自然にできちゃそうだもんね。むしろ、その前提になる条件になるものが整えられてないって感じたのかな。

平田:そう。私、20代前半ではじめての慢性期病院で勤務して、「こんなに寝たきりの人がいる」「こんなに経管栄養の人がいる」と知って、それと同時に「この状態って、ホントに本人が望んでるん?」って思って。
カルテ薄いし、「この人だれ?」「どんな人なんやろ?」とかもなくて、精神的にもって苦しくなって、OFFにしてないと働けないって作業的に看護業務をせざるを得なかった。
「こういう寝たきりの状況になってからじゃなくて、ピンピンしてるときに自分の人生の終い方とかを考えられてたらいいやん」って思って。この現状とかは、予防医学的な視点も含めて、伝えていかないといけないんじゃないかって変わってきたのが25歳の頃で。臨床美術と予防医学と看護の今までの経験とかがつながっていってるんだよね。

※LIC訪問看護リハビリステーション:FLAT STANDを運営する株式会社シンクハピネスの母体の事業
※臨床美術士:芸術的手法、コミュニケーション術、多様性を享受するマインドなど、臨床美術に必要な知識と技能を体系的に学び習得した専門家

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前編/後編で分けるつもりもなかってんですけど、話を聞いてたら「え?そこそうかんがえてたんだっけ?」とか「もともとそう思ったのってなんで??」とか雑談含めて盛り上がってしまったのでそれはそれで知って欲しかったりもするのでボリュームは無理に削らずに後編を作りましたのでお楽しみに!!
後編では「銅版画」や「看護」を通じてどんなことを考えているのか…ってあたりも記事になってまーす!

フラットインタビュー vo.5 Hi PRESS 平田有輝恵(後編)
https://flat-stand.com/voice/20211228-01/

 

Written by デリしげ