FLAT STAND「フラットインタビュー vol.4」ケアマネジャー 石田英一郎

VOICE

石田さんが考える「ケアマネジャー」とは

-まず最初に「ケアマネジャー」という仕事についてお伺いしたいのですが、具体的にはどのような仕事をされるのでしょうか?

石田さん:ケアマネジャーというのは公的介護保険制度で位置付けられている資格なんですが、いわゆる要介護者と言われる方々の相談を受けて、困り事や願いを分析し、サービスを提供できるようにプランニングとかコーディネートをする仕事、というのが一般的な説明ですね。

-一般的というのは??

石田さん:僕の思う「ケアマネジャー」というのは、もう少し広い意味のことを担ってるイメージで、介護を受ける方が今までどんな暮らしをしてきたのかをちゃんとわかった上でその先の未来をどういう風にしていくのか、どういう風に最期までを過ごしていくか、介護を受ける方が今までどんな暮らしをしてきたのかをちゃんとわかった上でその先の未来をどういう風にしていくのか、どういう風に最期までを過ごしていくか、みたいなところを一緒に考えていく仕事だと思ってますね。だから、ただ単に制度の中でプランニングする仕事だとは思っていないんです。

-ケアマネジャーとしての活動と同時に、ケアマネジャーや介護スタッフの方たちへの研修なども行っていると伺いましたが、それぞれ始められてどれくらいになりますか?

石田さん:ケアマネジャー自体は18年くらいですね。研修とか、アウトプットとかをし始めたのが35才くらいだからそちらもかれこれ15年くらい経ちますね。

-長きに渡って、福祉の世界に携わっている石田さんが、「一般的な」枠を超えてもっと利用者さんたちと近く、そして生き方・終い方を含めた未来図の設計にまで関わっていくようになったのは、何かきっかけなどはあるのでしょうか?

石田さん:僕が学校を卒業して最初に入職した特別養護老人ホームでの出来事に遡りますが、忙しくて利用者さんと話す時間的余裕がなかったり、認知症の方が混乱したときに怒鳴っているようなことが起きる現場の中で、違和感というか憤りというような感情が芽生えて、やはり作業として事務的に仕事をこなしていくのではなくて、今、目の前にいる人がどんな人なのかしっかり知り、理解して、その人が目指したいと思っている未来を介護士も一緒に見ていないといけないなって思ったんです。だから、人とわかり合うためには何をすればいいんだろうみたいな追求をし始めて、人の想いをちゃんと理解しながら仕事していくということを、追求し続けている感じです。

 

FLAT STAND との関わり

-石田さんの介護への思いと、FLAT STANDの関わりについてお伺いしていきたいのですが、石田さんにとってFLAT STANDという場所はどんな場所でしょうか?

石田さん:僕にとってFLAT STANDっていうのは、この先ケアマネジャーという仕事をしていく上で自分が実現したいことを形にするための入り口のようなものかな、と思ってます。

僕は、前の職場でも色んな活動をしていたのですが、その中でも特にやりたいなって思っていたことの1つが「自然に地域との繋がりを作っていく」ということだったんですね。そんな中でシンクハピネスがFLAT STANDを作ったっていうのを聞いて、実際にお店に行き、店舗に込めている思いや理念みたいなものをコーヒーを飲みながら色々聞かせてもらっているうちに、僕が今までやりたいと思っていたことに近いなっていう感じがしたんですよ。いわゆる人と人とが自然とフラットに繋がっていくという装置のような部分ですね。
その上で、じゃあ自分は、この先どうやってお年寄りたちと関わっていったらいいんだろうっていう未来のことを考えたら、ここで働いて自分がやりたいことを実現していく、みたいな方がいいだろうと思っちゃったんですよ(笑)。それまでの会社でぬくぬくしてやっていた方が当然安定はしていたんですけど、考えたら多分社会的な価値を見出すのはこっちの方なんだろうなって思って。FLAT STANDに何回か、来れる時は仕事終わってから寄ったりして、自分の気持ちを確かめたり、距離感を縮めながら、気がついたら入社してた、みたいな(笑)。

-まさに石田さんの思いと、場所が持つ意味が重なった形なんですね。

石田さん:「自然と地域との繋がりを作ること」って色々な意味や側面があるとは思いますが、僕が考える介護にとってもこの「地域との繋がり」ってすごく大事なことでカフェという空間を介す事によって無意識に生まれる身近になる感覚はとてもおもしろいと感じます。より自然体でいられる場所というものは無理なくお互いを知ていくきっかけになるし、しかもそこがカフェという少しだけ特別で愛着がわくような空間になっているということもとても意味があると思いますね。

「気軽に相談できる場所」であること

-石田さんがFLAT STANDを通じて実現していきたい事だったり、広げていきたい事があったらお聞きしてもいいでしょうか?

石田さん:ここで一番実現したいのは、お年寄りとかだけではなくて、子どもや子育て真っ最中の人、ハンディキャップを持っている方も含めて、誰が多数派とか個性とかあえて意識することもなくみんなが普通に立ち寄れる。そして、楽しみたいときは思い切り楽しめる、そっとしておいてほしいときはほっておいてもらえる、そんな時や場のすぐそばに僕らみたいな専門職が自然といる。そんな空間を作りたいっていうのが第一ですね。

僕らの業界って何か困ってる人しか来ないんですよ。だから、すごく敷居が高いんです。そんなに自然と立ち寄るとか、いつもの居場所になんとなく居たりするとかがありえないんです。そういう悪い意味での当たり前を壊していくというか、自然と普段生きている空間の中で、気軽に立ち寄れる、何かの時には声かけられるとかっていう、今までだったら融合していないものが融合できる場所を作っていきたいっていうのがあるんです。

-専門知識を持っている方と触れ合える場所が、日常の空間に存在してくれるというのは初めて相談をしてみたいと思っている人や、ちょっと話を聞いてみたいと思っている人たちにとっては特に心強いですよね。

石田さん:僕には小学校6年生の子どもがいるんですけど、その子が学校の宿題でお父さんの仕事について聞いてくるっていう課題で僕に「どんな仕事をしてるの?」って質問してきたんですよ。なので、いわゆる「ケアマネジャー」という仕事について説明したんですけど、後で子どもがまとめたものを見たら「困っている人と一緒に未来を考えていくお仕事です」って書いてあって、あぁ、まさにこういう事だなと思ってですね。仕事の内容として、一緒に寄り添って未来を考えていく事と同時に、そんな思いを話しやすい環境や場所を提供したり作ったりする事もすごく大切だなと。そのために、より自分たちの専門性を高めることをストイックに行える環境と併せて、フラットに、自然体で、気軽に相談できる場所になれたらいいなと思っています。

-石田さん、ありがとうございました。