「フラットインタビュー vol.1」 木彫作家 馬塲稔郎

VOICE

FLAT STAND
「フラットインタビュー vol.1」
木彫作家 馬塲稔郎

東京都府中市にアトリエを構える木彫作家馬塲稔郎さん。
動物をモチーフにした『animalier』(アニマリア)シリーズを中心とした繊細かつ温かみのある作品は、
普段何気なく見逃してしまっている感情や気持ちを優しく輪郭づけて気づかせてくれる。

FLAT STANDでも定期的に木彫のワークショップを開催されている馬塲さん。
今回は馬塲さんが創作を始められるきっかけから、FLAT STANDとの関係、また木彫に対する想いまで伺ってきました。

彫刻との出会い

-改めて、よろしくお願いいたします。

馬塲さん:よろしくお願いいたします。

-最初に、馬塲さんが木彫を始められるきっかけからお伺いさせていただきたいのですが、いつ頃から始められたのでしょうか?

馬塲さん:そうですね、「彫刻」というものを始めたのは大学からですね。18歳の時に現役で大学に入るわけなのですが、高校生の時に進路を考えるじゃないですか。その時に自分が何をやりたいのかと考えた時に昔から図工や工作が好きだったこともあって、美術系の大学に進みたいなと思ったんです。 そこで入った大学で、最初に学んだのが「彫刻」と「版画」だったことがきっかけです。

-その2つの中からさらに「彫刻」を選ばれた理由とかはありますか?

馬塲さん:子供のころにさかのぼるんですが、さっきもちらっと言った通り昔から工作が好きだったんですね。絵を書くよりも、工作のほうが好きだったんです。粘土だとか、あとはプラモデルですよね。
そういうのが好きだったので、やはり「立体」をやりたいなと。そこで、彫刻を選び、その中でも木を扱う木彫のコースを選びました。

-なるほど。そうすると、18歳の学生時代からすでに作品作り自体も始められていたんですか?

馬塲さん:そうですね。その頃から展覧会や作品発表などは行っていましたね。

 


温もりの中にユーモアとメッセージの込められた作品。

ワークショップへの思い

-現在、FLAT STANDで木彫のワークショップを開催されてますが、FLAT STANDと出会う前からこういったワークショップは行っていたのですか?

馬塲さん:ワークショップは実はそんなにやってなかったんです。知り合いが開催しているもののお手伝いとかはさせていただいてたり、あとは大学に勤めていたのでそこの先生の生涯学習講座で教えることのサポートとかはしていたので、いつかはやってみたいなぁと思っていたんです。
ただ実際にやるとなると、人数分の道具も必要ですし、何より場所も必要なので、いい機会があればなぁと。

-そのタイミングでFLAT STANDと出会った、ということですね?

馬塲さん:ちょうどその少し前の時期から府中市美術館で「アートスタジオ」というワークショップの講師をしていまして、依頼されてのワークショップではなくて、自分発信でカリキュラムを決めたワークショップをやりたいなと思っていたんです。(2018年現在もアートスタジオ講師を担当中)
そんな時に多磨霊園の駅前を歩いていたら、まだオープン前の、内装準備中のFLAT STANDを見かけて。

-なるほど!オープン準備中から出会ってくださっていたのですね!

馬塲さん:最初は「なんか新しい居酒屋さんでもできるのかなー」ぐらいに思ってたんですけど、どうも様子が違うなと思って(笑、ある晩に前を通りかかった時に中から明かりがもれていたので、窓ガラスから中を覗いてたんですね。そしたら、FLAT STANDの和田さんが中から出てきて「見ていかれます?」って。

-その時にワークショップのお話とかもしていたんですか?

馬塲さん:そうですね。お互いの自己紹介をさせていただく中で、和田さんたちから「レンタルスペース」とか「ワークショップ」っていう単語が出てきて、実は僕も地元でワークショップをやりたいんですって話をさせてもらったんです。僕としても、本当になにかこうきっかけを探していたので、いいきっかけをいただけたなって感じです。


ワークショップの中で作る「ひよこ」

-FLAT STANDの理念の中に、クリエイターやアーティストの方が活動・活躍できる場所を提供すると同時に、その中で地域コミュニティが出来上がっていってほしいという思いがあるのですが、馬塲さん的にはこういうFLAT STANDのような場所が地元にできたことによって変わったことなどはありますか?

馬塲さん:今までは「地元」から「外」に出ていくという意識で活動をしていたんです。展示だったら都内のギャラリーだったりとかもっと地方の方に行ったりしていて、地元で活動するということをあんまり考えていませんでした。
というのも、世の中では彫刻を含めた美術やデザイン、モノづくりとかって、まだまだ普段の暮らしからは遠いというかまだまだ疎遠というか、少し諦めていたところもあったのだと思うのですが、改めて自分の活動を考え直したところ、普段の暮らしの中から生まれ発信していく「彫刻」や「美術」を自分はやりたいのだと思い直したんです。そんな中で地元にこういうFLAT STANDのような理解をしてくれて、さらに応援をしてくれる場所や人がいることがどれだけ素敵なことかという。やはり、こういう場だったり環境を作ることを、自分もしていかなくちゃって気持ちになりました。

-そういった目線でのワークショップでもあるという感じですか?

馬塲さん:そうですね。地元にできたこういう場所で、できるだけ多くの人に木彫というものに触れてもらい、知ってもらったり理解をしてもらったりすることってすごく大切だと思っています。
なので僕のワークショップは「木彫体験」という名前でやらせてもらっているんですけど、このネーミングの中にはそういった思いも込められています。

-ご参加の皆さんも、実際に作って、それをずっと持っていられるというのは思い出にも残りますし、絶対に木彫や、さらにはアートに対しても興味が出ると思います。

馬塲さん:実際にワークショップに参加してくださった方が、僕の展覧会に来てくださったりということもあるので、そんな風にどんどん広げていけたら素敵だなと思います。

 

彫刻とは「想像力の塊」

-最後に、馬塲さんにとって彫刻とはどんなものかお聞かせいただけますでしょうか。

馬塲さん:想像したものが実際の形になって現れる、「想像力の塊」だと思っています。
想像力を鍛える上で、こんなに楽しい方法はないと思っているので、これからも魅力を伝えていきたいと思っています。

-馬塲さんありがとうございました。

馬塲さん主催の木彫体験ワークショップ、FLAT STANDにて開催中です。
次回開催予定などの詳細はFLAT STANDまでお問い合わせください。